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| 彼の結婚式当日にも動揺することなく過ごせたことで、これから先も落ち込まずにやっていけると確信したわたしは、ひとまず仕事を頑張ることにした。
 無事、結婚式を終え、新婚となった彼から、もう電話が入ることもないだろう、とどこかで安心していたわたし。
 
 ところが!
 
 新婚旅行から帰ってきたであろう彼から、何事もなかったかのように電話が入ったのだ。
 しかも、
 「しばらく急な海外出張が入って、連絡できなくてごめんね。」
 だって。
 
 海外出張なんて、あるはずもないのに。
 お詫びに海外からのお土産を買ってきたので、来週の大阪出張のときに持ってきてくれるのだとか。
 新婚旅行中に、ほかの女、しかも、二股をかけている女のお土産を買ってくるなんて信じられない。
 
 彼の本質が見えてしまった気がした。
 
 新婚となった彼と、自分の部屋で二人きりで会うのは、さすがに気も引けて、新大阪まで迎えに行ったその足で、飲みに誘ったのだ。
 彼はわたしの部屋に来たがったが、今日はどうしても外で飲みたいと言い張り、半ば強制的に居酒屋に連れていく。
 
 彼からのお土産はティファニーのネックレス。
 しかもオープンハート。
 ふるっ。
 ほんとに本物なのかな?と思いつつ、大したリアクションもせずにお土産を受け取った。
 
 さすがに、彼もわたしの様子が心配になったようだ。
 
 しつこく理由を聞いてきたので、わたしは友人に聞いたことは特に言わず、彼が結婚したことを知っているとだけ話した。
 
 彼は本当に驚いていた。
 長いこと連絡しなかったことを、わたしが怒っているだけと思っていたようだ。
 なんて単純な思考回路。
 
 それから、彼は言い訳をするように語りだした。
 彼には昔から決められた婚約者がいて、本当はわたしのことが好きだったのだけれど、両親に話しても認めてもらえず、家の事情で結婚を破棄することもできないことから仕方なく結婚してしまったのだとか。
 彼のほうから、奥さんに猛アタックしたことを友人から聞いていたわたしは、鼻で笑ってやりたい気持ちを抑え、だまって話しを聞いていた。
 わたしに悪いという気持ちはあるが、自分の気持ちに嘘をつくこともできない、とか。
 
 聞いていて呆れてきた。
 
 その場から帰りたくて、
 「とりあえず今日は帰らせて。」
 というと、彼も一緒についてこようとする。
 
 一人で帰る、というと、泊るところもないから、と。
 
 これ以上一緒にいると、場所もわきまえずに罵声を浴びせてしまいそうなので、
 「今日だけはひとりにさせて。」
 と、振り返りもせず、帰宅した。
 
 帰宅すると彼からメールが入っていた。
 久しぶりのメール。
 結婚したことを黙っていたことの謝罪と、わたしへの気持ちが書かれていた。
 なんだか恋愛まで馬鹿らしくなってしまった。
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